第11回 身体を冷やさないようにするために (H20.12.21)
師走も半ばを過ぎ、寒さも一層厳しさを増してきています。
みなさんは、どのようにしてこの寒い冬を過ごしてますか?
できるなら、身体を温めながら快適な生活を送りたいものです。
そんな願いを、今回のテーマに取り上げてみました。
できる範囲で、みなさんのライフスタイルに取り入れてみてください。
1.身体を冷やす原因は?
血液は、本来温かいものです。その温かい血液が全身くまなく巡ることにより、私たちは健康な生活ができるのです。
その温かい血液が、身体の表面にある毛細血管へ流れにくくなる、つまり血行が悪くなると身体は徐々に冷えてきます。
そして、その状態が長く続くと、いつまでも血管が収縮した状態となり、いわゆる冷え性となっていくのです。
血行が悪くなる原因を以下に紹介します。
① 身体をしめつける衣服の着用
特に女性に多いことです。最近はボディラインにぴったりとした服がはやってます。
窮屈な服やストッキングなどを身につけるということは、それだけ、身体に圧迫をかけるということ。
毛細血管へ血液を運ぶ妨げになります。
ゆるい衣服を着ている人と、きつい服を着ている人とでは、体温の上昇の仕方が違うということが実験でも立証されているそうです。
② 身体を冷やす食べ物の摂取
身体を冷やす食事には、きゅうり・トマト・キャベツなどの生野菜、柿・バナナ・ミカンなどの果物、
そして冷蔵庫から取り出したばかりの飲み物(牛乳・お茶・ジュースなど)があります。
でも、冷蔵庫から取り出したばかりの飲み物などは温めて飲めばいいし、生野菜は火を通して食べればいいのです。
また、果物は朝食べると金、昼食べると銀、夜食べると銅と言われます。
基本的に、果物はビタミンCを含んでおり、身体にとって必要なのですが、
身体を冷やす原因になりますので、なるべく夜は食べないようにしましょう。
③ 厚着や設定温度を超えた暖房機の使用
人の身体は、その季節、温度、気候に対して体内温度を調節する機能があります。
しかし、暖房をしながら厚着をしていると神経機能が鈍り、皮膚から脳に「寒い」という情報がうまく伝えられなくなります。
すると、いざという時に身体を暖めるための血液を送り込む命令を出す自立神経がうまく機能しなくなります。
④ 運動不足や筋力の低下
運動不足は身体の代謝を低下させ、血液の循環を悪くさせます。
また筋力が低下することによって身体の熱が充分につくられなくなったり、寒さに対する抵抗力が弱くなります。
【東洋医学コーナー】
東洋医学では、冷えのことを「寒邪(かんじゃ)」と呼んでいます。
一般に寒邪は、冬場に旺盛になりやすい邪気ですが、夏場にも影響を及ぼす場合があります。
それは、エアコンによるものです。
多くの場合、寒邪は足下から身体を侵します。
なので、冬場になると膝が痛くなったり、腰が痛くなったりしてくるのです。
また、手を冷やすと肩や首筋なども緊張してきます。
2.身体を冷やすとどうなるの?
昔から「頭寒足熱」とよく言われます。頭は温めてはいけませんし、足は絶対に冷やしてはいけません。
足を冷やすと、まず最初に足の血液循環が悪くなります。
これは、足から膝、そして腰へと波及していき、ついで筋肉の緊張を引き起こしていきます。
つまり、膝痛や腰痛の原因になるのです。
それだけでとどまらず、寝付きも悪くなります。
また、そのまま放置しておくと、お腹の冷えへと広がっていきます。
つまり、腹痛や下痢の原因になり、体調不良を引き起こすのです。
一方、手を冷やしても同じように肘や肩へと広がっていき、首や肩こりの原因へとつながっていきます。
また、頚、特にのどを冷やすと、気道の抵抗力が落ち、かぜをひく原因にもなります。
3.冷えを予防するには?
次の4つが決め手となります。
① 食事は陽性の食べ物を中心にバランスよく!
陽性のものとは、一般的に温かい地域で取れるもの、あるいは夏場にとれるものを指します。
肉類や魚類などのような動物性食品は陽性ですが、中でも魚は陰性が強く、牛肉などは陽性が強いとされています。
また、生は陰性が強くなり、火を通せば陽性が強くなります。
陰性のものとは、一般的に寒い地域で取れるもの、あるいは冬場に取れるものを指します。
野菜や果物などのような植物性食品は陰性ですが、中でも空に向かってのびていくようなものや
色の薄いものは陰性が強く、地面に深く入っていくようなものや色の濃いものは陽性が強いとされています。
また、生は陰性が強くなり、火を通せば陽性が強くなります。
② 機能性に富んだ衣服の着用を!
寒いときは厚着をすることも必要ですが、最近は温感商品が衣服のお店で注目を集めています。
例えば、ユニクロが開発したヒートテックという汗を吸うと発熱する繊維を使った商品があります。
また、腹巻きも最近ではファッション性に富んだものが売り出されています。シルク生地のものは薄くてかさばりません。
③ 適度な運動習慣を!
なるべく車や自転車を使わずに自分の足で歩いたり、筋力トレーニングをして足腰の筋肉をつけることが大切です。
④ 効果的な入浴法を!
入浴剤を入れて保温効果を高めたり、39℃か40℃のややぬるめの温度で半身浴をするのが効果的です。
冬場は浴室内が寒いので、入浴する30分前に浴槽のフタをあけておくと、浴室内が蒸気で温められ、寒さが和らぎます。
4.冷え性チェックリスト
次の中から該当するものを選んで、その数を数えてみてください。
その数が多ければ多いほど、あなたの身体は冷え性に傾いています。
- 生野菜や果物をよく食べる。
- 冷たい食べ物や飲み物が好き。
- 運動不足である。
- 血圧が低い。
- 朝起きるのがつらい。
- 肌が乾燥して荒れている。
- 顔色が悪いと言われる。
- 爪が白い。
- 下半身は冷えているのに、上半身だけがほてっている。
- 顔や首筋に汗をかきやすい。
- 疲れがなかなか取れなくて、なんだか体がだるい。
- ちょっとしたことでイライラしたり、憂鬱になることがある。
- 日中、トイレにいく回数が多い。
- 寝つきが悪かったり、夜中にトイレにいくことがある。
- 寝不足でもないのに目の下にクマがある。
- 貧血や立ちくらみになることがよくある。
- 普段の生活の中で激しい動悸がすることがよくある。
- 肩こりや頭痛に悩んでいる。
- 生理不順がある。
- 胃腸が弱くて、下痢や便秘になりやすい。
- カゼをひきやすい。
5.まとめ
冷え性の人にとって冬場はつらい季節です。
身体を冷やさないような生活習慣を身につけるということは、カゼもひきにくくなり、
寝付きもよくなり、肩こりや腰痛、そして膝痛予防にもつながっていきます。
「3 冷えを予防するには?」で述べた4つの項目を是非実践して、快適な冬を過ごしてください。