東洋医学って何だろう? 第48回 ~ 長寿につながる性格とは? ~ 平成25年1月20日(日)
いよいよ年が明けました。今年は巳年。
この「巳」の漢字は、頭と体ができかけた胎児を表し、子宮が胎児をつつむさまを表す「包」の中の字と同じです。
十二支の中では、この「巳」は、植物に種子ができはじめる時期と考えられているそうです。
私たちも、是非この巳年にあやかり、新しく何かを始める年にしたいですね。
今回は、「長寿につながる正確とは」と題して、皆さんと一緒に勉強したいと思います。
1.世界最高齢・木村さん、男性の史上最長寿に(平成24年12月28日付けの朝日新聞の記事から)
世界最高齢の京都府京丹後市の木村次郎右衛門さんが28日、115歳253日を迎え、男性の史上最長寿としてギネスワールドレコーズ社に認定されているデンマーク出身男性(1998年死去)の記録を抜いた。
市によると、木村さんは記録更新前の26日、入院中の病院で看護師からお祝いの花束を受け取り、「ありがとうございます。皆さんのおかげです」。「ユー アー ベリー カインド」と得意の英語も披露して場をなごませたという。
同居する孫の妻の木村栄子さん(59)は28日、「大変光栄。早く退院できることを願っています。おじいちゃんには、これからも元気で、家族の心の支えになってほしい」とコメントした。
2.海外から見た性格分析 ~ 性格で病気が決まる あなたはどのタイプ?
健康心理学者によると、人の性格は遺伝子と生活環境の両方の影響を受けるそうです。
また、楽観的な人は太りやすく、心配性の人は胃潰瘍になりやすいなど、性格によってかかりやすい病気も決まってくると言われています。
① 楽観的な性格
楽観的な人は往々にして体重オーバーの恐れがある。同志社大学で行われたダイエットの研究によると、楽観的な人ほど体重の減少が少なかったという。
いつでも積極的な考えを持つ楽観的思考の人は、自分の体重についてあまり悩まないが、誘惑に弱い。また、人生の困難に打ち勝てるという自信が強く、リスクのある行動をしがちだ。
したがって、このタイプの人は、健康や安全面にもっと注意した方がいいだろう。
② 心配性の性格
パリ第5大学とカナダの精神療養機関の研究によると、心配性の人はそうでない人より胃潰瘍になる確率が5倍も高いという。
依存心があり、情緒不安定な心配性の人は、タバコやお酒の習慣に陥りやすく、不規則な飲食や睡眠障害などの問題を抱えやすい。そのため、多くの胃酸が分泌され、胃潰瘍を誘発するという。
また、過剩なストレスの状態は頭痛、にきび、膀胱炎などのトラブルも引き起こす。
③ 女性的な性格
英グラスゴー大学の研究によると、性格が優しく、同情心に富む忍耐力のある男性はストレス度が低く、心臓病にもなりにくいという。
リーダーシップ、攻撃性、冒険心、同情心、友愛、敏感などの項目で被験者の「男性的情緒」と「女性的情緒」の点数をつけたところ、女性的な部分が多い男性ほど、慢性心臓病を患うリスクは低かったという。
「女性的情緒」が多い男性は自分の感情を表現することに優れているほか、医者の助言を聞き入れるなど、外部に助けを求めることに抵抗感がない。
④ 怒りっぽい性格
競争心や攻撃性に満ちた怒りっぽい性格は、健康を害する大きな要素の一つ。
ギリシアのキフィシア大学の研究によると、怒りっぽい性格の女性は乳癌になる率が高く、男性の場合は結腸癌になりやすいという。
競争心と怒りは人体の免疫力を低下させ、疾病にかかりやすいと研究者は考えている。
また、よく怒る人は、そうではない人より心臓病を患うリスクが50%も高いという。彼らは何らかのプレッシャーがあった時、血圧と心拍数が上がるなど、より激しい心身の反応を引き起こすため、心脳血管系統に大きなダメージを与えてしまうのだ。
⑤ 外向的な性格
ミラノ大学の研究によると、外向的な性格の男性は心臓病や感染病にかかりにくく、病後の回復が早い。彼らは生活上の挫折に直面してもそれに屈しない忍耐力に優れている。
また、体の調子が悪いことに気づくと、すぐに医師の診察を受ける。また研究によると、外向的な男性は、そうでない人より14%も多く子供を持っている。
⑥ 内向的な性格
米ノースウエスタン大学の研究では、はにかみ屋の性格の人が心臓病と脳卒中を患う確率は普通の人より50%も高いという。
内向的な性格の人は比較的、閉鎖的な生活を送っているため、彼らは新しい環境の中にいるとプレッシャーを感じ、ウイルスに感染しやすいと研究者らは指摘する。一年に数回も風邪をひくのは、このタイプだという研究者もいる。
⑦ 善良な性格
英エディンバラ大学の研究によると、善良で道徳心の強い人は健康を得ることができるという。
報告によると、善良な性格の人は糖尿病やヘルニア、骨病、座骨神経痛、脳卒中、認知症などの疾病にかかることは少ない。彼らの生活はとても健康的で、運動や食習慣にも注意をはらうという。
3.東洋医学から見た性格分析 ~ 陰陽五行論の考え方
東洋医学では、万物を二つの側面、つまり「陰」と「陽」に分け、自然の現象を長い間の観察より5つの事象に分類して物事を考えてきました。これを陰陽五行論といいます。
具体的に言うと、自然界は木・火・土・金・水の5つの要素で構成されている。木はすべてを燃やす火を生みだし、火によって燃えた木は土になる。また、そんな土を掘っていくと鉱脈(金)が掘り出される。鉱脈のそばには必ず水の存在があり、水の存在するところには、必ず植物(木)が育つ。
以上の考え方を元にして、人の性格や病気の考え方などに発展させていくと次のようになります。
① 怒りっぽいタイプ
肝の病(脳梗塞や心筋梗塞など)に陥りやすく、呼ぶような声で話します。
顔色が青く、眼光に異様な光があって、目がつり上がっていたり、怒りっぽい性格で、酸っぱいものを好みます。
春先の木の芽時になると体調が悪くなったりします。
② 陽気でよく笑うタイプ
心の病(循環器系の病)に陥りやすく、よくしゃべります。
赤ら顔で、舌がもつれて言葉尻がはっきりせず、性格は陽気でよく笑い、苦みのあるものを好み、病気は夏に属します。
平素陽気で多血質な人が、突然心臓麻痺や脳卒中などの循環器系の疾患を患ってしまうコトがあります。
③ 思い悩むタイプ
脾の病(消化器系の病)に陥りやすく、歌うような声で話します。
顔色は黄色を帯びています。日頃より、物事を思いすごす性格ですが、よく物忘れをします。唇が厚く、時々熱っぽく腫れたりします。
甘い味が好きで、病気は四季の土用に属し、俗にいう季節の変わり目(季節と季節の変わり目の18日間)に体調を崩しやすいといわれます。
④ 憂いやすいタイプ
肺の病(呼吸器系の病)に陥りやすく、泣くような声で話します。
顔色が白っぽく、常に憂鬱な性格です。ピリ辛い味が好きで、皮膚が弱いです。
病気は秋に属しますので、秋口に呼吸器病が悪化します。
⑤ 神経質で臆病なタイプ
腎の病(泌尿器系の病)に陥りやすく、うなるような声で話します。
顔色は黒く、性格は驚きやすく恐がりです。
難聴や耳鳴りなど、耳の異常を起こしやすく、塩辛い味が好きで、特に足腰が冷えやすいです。頭髪が薄く、歯や骨の病気になったりもします。
病気は冬に属すので、冬になると膀胱炎などを起こしやすかったりします。
東洋医学では、このような感情の起伏を極力抑え、穏やかな生活を送ることが健康につながると教えています。
4.まとめ
WHO(世界保健機構)が健康の定義を3つの条件に分けて述べていますが、その中に「精神的に健康である」というのがあります。
「精神的な健康」とは、高ぶる感情、つまりイライラしたり怒りっぽくならないことを指しています。
イライラしたり、怒りっぽくなることで、血管は収縮し、血圧は上がり、脳梗塞や心筋梗塞の危険性が高まります。
また、脳の循環の悪化が慢性化すると、脳の萎縮が進み、認知症発生の危険性も高まってきます。
イライラしたときは、コップ一杯の温かい白湯でも飲んで、一息つきましょう。気分がすっきりしますよ。
この1月で、健康講座を始めて6年目に入りました。3月には記念すべき50回を迎えます。
本当に長い間お付き合いをいただき、ありがとうございます。
これからも、皆さんの健康につながるテーマをあれこれと考えながら、がんばって続けていきたいなと思っています。
本年も皆様方にとって、健康で幸せ多い年になりますよう、お祈りしています。