東洋医学って何だろう? 第49回 ~ 最近増えているサルコペニア肥満 ~ 平成25年2月24日(日)
2月も末になりました。寒いのはいやですが、私としてはあまり雪が降らないので助かってます。
今回は、私が今最も関心を深めている「サルコペニア肥満」について、皆さんと一緒に勉強したいと思います。
1.サルコペニア肥満って何だろう?
今年の1月末にCBCテレビのみのもんたの朝ズバでも紹介されたこの”サルコペニア肥満”ですが、最近よく聞くようになりました。
名前からも分かる通り肥満の一種ですが、最初聞いたときは「なにかとても恐ろしい肥満じゃないの?」と思いました。
サルコペニア肥満とは、メタボの肥満とは違い、誰にでも起こりうる肥満なんです。
サルコペニア肥満の『サルコペニア』とは、一言で言えば「老化によって引き起こされる筋肉の減少」のことです。
老化による筋肉の減少は25歳ごろから始まると言われており、80歳ごろになると若い頃のなんと半分近くにもなってしまいます。
運動や筋トレの習慣がある方は問題ないですが、まったく運動をしない方は年齢に関わらずサルコペニアが起こります。
サルコペニア肥満とは、「老化によって筋肉が減少しているのに脂肪だけは残っている状態」を指す言葉です。
なので、見た目は太っても痩せてもいない普通の身体に見えるのです。
☆★ 「メタボ」との違い ★☆
① メタボの肥満
原因は、運動不足と食べ過ぎ飲み過ぎ。
「ぽっこりお腹の内臓脂肪型肥満」 + 「高血糖・高血圧・脂質異常のうちの2つの症状」
② サルコペニア肥満
原因は、運動不足と食事量の減少(特にタンパク質不足)。
「肥満」 + 「筋肉量の低下」
どちらが怖いかということは一概に言えませんが、近年の若い年代にも広がっている深刻な筋肉量不足を受けて、メタボに加えサルコペニア肥満への予防が必要とされているのです。
☆★ 間違ったダイエットが将来サルコペニア肥満を引き起こす ★☆
最近は、男女ともに歩行が減少していることが問題視されていますが、男性は歩行の減少とともに肥満も増加傾向にあります。
しかし、女性は歩行が減少していながら、肥満も減少しています。
活動量が減少していても、食事量も減っているので、肥満が減少しているのです。
これだけを見ると、肥満を予防している女性の方が心配ないように感じられますが、実は運動をせず、食事を減らすだけのダイエットが筋肉量の減少を招き、将来のサルコペニア肥満体質を作っている可能性があるのです。
体重ばかりを気にした間違ったダイエットは、筋肉が減少しただけで、脂肪はそのまま残ってしまっている可能性が高いです。
【 東洋医学コーナー 】
東洋医学では栄養を吸収する臓器のことを脾と呼んでいます。
暴飲暴食や偏った食生活、そして疲れがたまることなどにより、この脾の働きが低下します。
すると、栄養をうまく吸収できなくなります。これを脾虚(ひきょ)と呼んでいます。
脾は肌肉(筋肉のこと)の働きを受け持っていますので、脾虚になると、徐々に肌肉が痩せてきます。
正にこれがサルコペニアなわけです。
2.サルコペニア肥満の原因とは?
サルコペニア肥満になる原因には次のようなものがあります。
① 日頃の運動不足
② 偏った食事
③ 食事制限によるダイエット
運動不足や筋肉を鍛えることを怠っていると、筋肉は老化によって減少していきます。これが「サルコペニア」です。
また、偏った食事は、筋肉に必要なタンパク質の減少につながり、運動をしても筋肉が太くなりません。
そして、食事制限によるダイエットは、食べる量を減らしますので、一時は脂肪減少につながりますが、その後徐々に筋肉量も減少していきます。
筋肉量が減少するということは、脂肪を燃焼させる力も低下するということですので、少しの食事でも脂肪が蓄積されやすい身体になります。
そうなると、さらに食事制限をしてダイエットを行ってしまい、結果、筋肉量が少なく脂肪が蓄積してしまうサルコペニア肥満体質になってしまいます。
サルコペニア肥満になると、動脈硬化のリスクも高まると学会で発表されました。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まると言われています。また、メタボを併発する危険性も現れてきます。
3.簡単にできるサルコペニア肥満の予防法
サルコペニア肥満は、筋肉量が減少することと脂肪細胞が蓄積することが原因ですので、その対策は簡単です。つまり、筋肉を増やすことと、筋肉の質を高めること、そして食事内容を見直すことになります。
① 筋肉量を増やす
筋肉量を増やすための一般的な方法は筋トレです。筋トレを行う場合は、必ず休養期間を設けることが必要です。
筋トレを行った日の翌日、あるいは翌日と翌々日は筋肉を休めるようにしましょう。よって、週に2~3回がオススメです。
その方法は、毎回健康講座で行っている下半身の筋トレ体操で充分です。つまり、イスに座って行う「膝伸ばし体操」・「もも上げ体操」、そしてイスの背もたれにつかまって立って行う「つま先立ち体操」の3つです。とりあえず、週3回を目標にがんばってみてくださいね。
② 筋肉の質を高める
筋肉の質を高めるには、筋肉を普段から動かす必要があります。一番よい運動は有酸素運動、つまりウォーキングです。これは毎日行うことをオススメします。
有酸素運動は筋肉の質を高めることができると同時に、「脂肪の蓄積」を解消する効果も狙えます。
③ 食事内容の見直し
サルコペニア肥満は、筋肉量の減少と肥満が合わさった状態です。これを解消するためには、まず筋肉の元となるタンパク質を十分に摂取する必要があります。
それに加えて、脂肪の原因となる過剰な炭水化物の摂取を見直します。また、ビタミンやミネラル類は筋肉を作ったり、脂肪を燃焼させたりするために必要不可欠な栄養素ですので、これらの摂取も怠ってはいけません。
☆★ 良質なたんぱく質を含む食品 ★☆
① 卵1個(60g)当たり91kcal
安くて活用しやすい卵は、常備している食材の一つではビタミンC以外の栄養素をすべて含んでいると言われている完全栄養食品の1つです。
② 鶏ささみ1本(43g)当たり45kcal
肉類の中で最も低脂質であることから、ダイエット中に取り入れる人も多いようです。アミノ酸のバランスが良いだけでなく、ダイエットに役立つビタミンB群もたくさん含んでいます。
③ あじ1尾(54g)当たり65kcal
中性脂肪を低下させるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むダイエット食品です。ダイエット中に不足しやすい鉄も多く含まれているので、貧血予防にも役立ちます。
④ その他
豚肉、イワシ、牛乳、豆腐、納豆、シジミ、かまぼこなどもいいと言われています。外食する際は、是非このようなものを選んで食べるようにしましょう。
4.まとめ
豊食の時代に生きていて運動量が不足しがちな現代人にとって、サルコペニア肥満は誰もがなりうる肥満と言えます。
ただ、サルコペニア肥満の対策は「非常に簡単」なものです。
運動や食事内容の見直しは、サルコペニア肥満対策というだけでなく、健康管理のためにも絶対に必要なものです。
「運動はしんどいもの」という認識ではなく、「運動は必要なもの」という認識で日々生活することが、これからの現代人に必要不可欠な考え方なのだと思います。
立春が過ぎました。あんなに寒かった冬も、後少しで終わりを迎え、いよいよ待ちに待った春がやってきます。
そんな春のことを木の芽時とも言います。体調が悪くなることでも有名です。
まだまだ防寒対策をゆるめることなく、健康な毎日を送ってくださいね。