東洋医学って何だろう? 第50回~ 私の薦める「健康10箇条」 ~ 平成25年4月21日(日)

 三寒四温で、気温が落ち着かない毎日が続いていますが、皆さんお変わりありませんか?
もう少しで気温も安定し、体調がよくなっていきますので、それまでは身体を冷やすことのないよう、くれぐれもお気をつけくださいね。
 今回は、この講座を始めて第50回になるのを記念し、「私の薦める健康10箇条」と題して、皆さんと一緒に勉強したいと思います。

1.115歳・大川さん「まあまあ幸せや」 ギネス記録認定(平成25年4月12日付けの朝日新聞の記事から)
 大阪市の大川ミサヲさん(115)がギネス世界記録で女性の最高齢と認められた。研究者によると、長生きする人は意志や好奇心の強さが特徴だという。「私はまあまあ幸せや」と話す大川さんはどうなのか。高齢者心理学が専門の権藤恭之(やすゆき)・大阪大准教授(47)とともに、記者が3月の一日を大川さんと過ごした。
 3月13日午前11時、特別養護老人ホーム「くれない」(大阪市東住吉区)の食堂。「かわいくなってますね」「みんなのアイドルやからな」。前日に散髪したばかりの大川さんに、職員たちが声をかけた。
 母親が大川さんより4歳年下という女性(86)は「手足をさすってあげると『あんたの手、ぬくいなあ』と言ってくれる。死んだ母に会ったような気になります」。介護職員の三井美鶴(みつる)さん(45)はこんな光景を見た。男性スタッフが「大川さん好きやで」と声をかけると、「あんたのことはな、あんたのお母さんが一番好きなんやで」。「いつも穏やかで、時々はっとさせられることを言う。私たちにとっては『大いなる母』です」

【東洋医学コーナー】
 東洋医学の考え方の一つに、「心身一如(いちにょ)」と言う言葉があります。これは、心と身体は別のものとして考えるのではなく、常に一つのものとして考えていこうというものです。
 心を病むと身体も病んでくるし、身体を病むと心も病んできます。私たちは、身体の健康を維持すると同時に、心の健康にも目を向けていかなければいけないのです。

2.杉田玄白の『養生七不可』
 福井県出身である杉田玄白(1733 ~ 1817)は、江戸時代に活躍した蘭学者であり、『解体新書』を著すなど我が国の西洋医学の発展に貢献した人物です。
 福井県史によると杉田玄白は当時としては超高齢である85歳まで生きており、晩年には健康・長寿の秘訣として『養生七不可』を書き残しています。

  一、「昨日の非は恨悔すべからず」
    【現代訳】 」昨日の失敗は後悔しない。」

  二、「明日の是は慮念すべからず」
    【現代訳】 「明日のことは心配しない。」

  三、「飲と食とは度を過ごすべからず」
    【現代訳】 「食べるのも飲むのも、度を過ぎない。」

  四、「正物に非(あら)ざれば、苟(いやしく)も食すべからず」
    【現代訳】 「変わった食べ物は食べない。」

  五、「事なき時は薬を服すべからず」
    【現代訳】 「何でもないのに、むやみに薬を飲まない。」

  六、「壮実を頼んで、房をすごすべからず」
    【現代訳】 「元気だからといって、無理をしない。」

  七、「動作を勤めて、安を好むべからず」
    【現代訳】 「楽をせず、適当に運動を。」

3.102歳の日野原重明先生の「健康心得10ヶ条」
 聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生(1911年10月4日生まれ)は、今年102歳になられますが、まだまだ現役で超人的にご活躍です。
 『文藝春秋』の2007年3月号に、日野原先生の食事の献立について書かれた記事がありましたので紹介します。
 この献立は、体調を崩された静子夫人に代わって、長男夫人と二男夫人が日野原先生の体調、好みや季節のものを取り入れたりして、いろいろと工夫して分担して作られています。なんと、一日の総カロリー量は1,300kcalだそうです。私の勤めていた学校給食のカロリーは、750kcalくらいでした。

☆ 朝食の一例 ☆
「びん入りりんごジュースに米油スプーン1杯を撹拌したもの、またはジュースにオリーブオイル少々をよく混ぜたもの」、「牛乳に大豆レシチン小さじ約3杯をよく混ぜたもの」
 オリーブオイルは、動脈硬化予防、心筋梗塞予防や便秘予防に良いと言われています。
 大豆レシチンは、細胞膜を作る成分で細胞を若く保つので、”若返りの栄養素”と言われます。大豆レシチンは、大豆に含まれる不飽和脂肪酸で、血管のコレステロールを溶けやすくしたり、血行を良くしたりして、動脈硬化予防・脳出血予防などの効果・効能があります。

☆ 昼食の一例 ☆
 「海苔巻きまたはいなり寿司」、「里芋の煮っ転がし」、「漬物」、「お吸い物」、
 「食後梅干2つ」
 ※昼食は、クッキー2枚と牛乳ですませられる時もあり、また、仕事がたてこんでいる時
  は何も食べられない時もあるそうです。

☆ 夕食の一例 ☆
 「ハンバーグ」、「ホウレンソウのソテー」、「焼き魚」、「煮奴(豆腐を煮た料理)」、
 「おひたし」、「タラコ入りサラダ」、「かまぼこ」、「ごはん」、「麩の味噌汁」、「漬物」

 同じく、3月号の『文藝春秋』に日野原重明先生の「健康心得10ヶ条」という記事が載って いましたので紹介します。

 ① 「少食」
  90歳代から1日の食事摂取量は1,300kcal。
  腹八分目は科学的にも正しい。80歳から1日1,300kcalに。30代の体重や腹囲を保つと
  良い。

 ② 「植物油をとる」
  ヤシ油以外のものならOK。肌のハリを保つ。肌のハリは、気持ちのハリにつながる。
  細胞を若く保つには、大豆製剤のレシチンを温牛乳に入れると良い。

 ③ 「階段は一段飛びで」
  病院内、駅、空港などでは必ず階段を上がる。

 ④ 「速歩」
  人より速く歩くように心がける。

 ⑤ 「いつも笑顔で」
  口元を常に鍛えて素敵な笑顔でいる。目で笑う練習をする。(目は心の鏡)

 ⑥ 「首を回す」
  上下、左右、前後へ首を回し、首の関節を柔らかく保つ。後ろから呼ばれた時、肩ごと
  身体を向けるのではなく、首だけ回すとはつらつと見える

 ⑦ 「息を吐ききる」
  息を大きく吐いて、吐いて、吐ききり、新鮮な空気を吸う。吐ききると腹式呼吸が簡単に
  できる。新鮮な空気がたくさん身体に取り込める。

 ⑧ 「集中」
  寸暇を惜しみ、何かに集中して時間を有効に使う。仕事、趣味に時間を有効に使うため
  には集中することが一番大切。

 ⑨ 「洋服は自分で購入」
  おしゃれも大切、ネクタイや洋服は自分で選ぶ。服を選ぶことは楽しい。おしゃれになる
  と、歩き方まで変わる。

 ⑩ 「体重、体温、血圧を測る」
  自分の身体は自分で守る。常に観察して記録。日々の変化を記録する習慣を。ベスト
  の数値を知っておく。自分の30代の数値に似ているはず。

以上の10項目を、できることから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうかと、日野原先生はおっしゃっています。

4.私の薦める「健康10箇条」
 今まで続けてきた49回の講座の中から、特に大切だと思うものを選んでまとめてみました。

 ① 「週に3度の筋トレ体操を行う」
  できれば毎日の散歩と、いつも健康講座で行っている3つの筋トレ体操がいいですね。
  毎日、朝昼晩行う1分間の「片脚立ち体操」も忘れずに。

 ② 「毎日1個の卵を食べる」
  脳に必要な栄養素がたくさん含まれています。認知症予防にもいいと言われています。
  どんな食べ方でもかまいませんよ。

 ③ 「野菜はふんだんに、タンパク質(お肉、魚、豆腐、納豆など)も忘れずに」
  身体に必要なビタミンやミネラルをしっかり取り入れ、合わせて筋肉が痩せるのを防ぎ
  ます。タンパク質は身体の元気に直結する栄養素です。

 ④ 「バナナを食べる」
  心の安定をつくり出し、老化予防の効果などもあります。

 ⑤ 「水分はしっかり補給する」
  血液の流れをよくしたり、認知症の予防にもつながります。
  目安は、3回の食事時以外に起床時(白湯)、10時、3時、9時の4回。

 ⑥ 「ヨーグルトを食べる」
  腸内環境を整え、免疫力を高め、風邪などの感染を予防します。

 ⑦ 「必ず寝る前に入浴する」
  寝る前に入浴することで、心身の疲れを癒し、気持ちを爽やかにします。身体を温める
  ことは究極の健康法です。お湯につかり、顔に汗が出てくるのが上がるときの目安で
  す。

 ⑧ 「極力冷たい飲食(あるいは寒い環境)を遠ざける」
  冷たい飲食は、胃腸を冷やし、消化吸収の働きを低下させます。
  また、血管を収縮させ、細胞への血液量を減らし、”細胞老化”に結びつきます。
  一方、寒い環境も身体の血管を収縮させ、”細胞老化”だけでなく、様々な機能低下にも
  つながり、病気の発生を速めます。

 ⑨ 「友達との交流を深める」
  仲のいい友達と出かけたり、お茶を飲んで話をしたりすることで、ふさぎぎ込んでいた気
  持ちが和んだり、心が豊かになったり、ストレス発散につながります。

 ⑩ 「趣味を広げる」
  なんでもいいので、長続きできる趣味をつくります。人とのコミュニケーションの話題にも
  なり、心が豊かになります。

以上の10箇条の中で、できるところから少しずつ始めてみてください。

5.まとめ
 今現在、登山家で有名な三浦雄一郎さん(80)が世界最高峰エベレスト(8,848m)の登頂を目指して登っておられます。丁度昨年の今頃、山梨県出身の女性登山家、渡辺玉枝さん(73)もエベレスト登頂を目指して登っておられました。
 一度しかない自分の人生の中で、その人なりの”幸せ”や”喜び”を感じられる瞬間を少しでも多く持てるような人生が送られたらどんなにすばらしいだろうなと思っています。
 先ほどもお話しした「心身一如」ですが、心と身体を健康に保つことはとても難しいことだと思っています。
 今回まとめた健康10箇条が、そんな皆さんの心身の健康に少しでも役立つことを祈っています。

 平成20年1月27日から始まったこの健康講座も無事に第50回を終えることができました。
 これも一重に、この講座におつき合いいただいた皆さんのおかげだと感謝しています。どうもありがとうございます。
 これからは、第100回を目指してがんばっていこうと考えていますので、今後とも末永くおつき合いいただけますよう、どうかよろしくお願いします。

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