第6回 梅雨を快適に過ごすために (H20.6.22)

6月3日(火)に東海地方は梅雨入りを迎えました。
小満(しょうまん)とは、二十四節気のひとつで、ちょうど5月21日頃、 西日本で梅雨の走りが始まる頃とされています。
日本語の「五月雨」と書く「さみだれ」は陰暦5月頃に降る長雨のことで、つまり梅雨と同じものなのです。
さて、この梅雨特有のじめじめした時期に神経痛、関節痛などでお困りの方はいらっしゃいませんか?
今回は、これについて東洋医学の観点からお話ししたいと思います。

 

1.梅雨時に現れる「湿邪」って何だろう?
東洋医学では、梅雨時に現れる「邪気」のことを「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。

【湿邪の特徴】

  1. 身体や手足が重だるい。
  2. 症状が下半身に集中する。例えば、膝や足が重い、膝や足首がむくむなど。
  3. 症状が普段より改善しにくい
  4. 雨の日や湿度の多い日に症状が悪化する。

 

2.どんな症状が起きるの?
このような特徴を持つ「湿邪」に侵されると次のような症状が現れます。
汗の出ない発熱、じっとりした汗をかく、頭が重くだるい、食欲が無くなる、
お腹がつかえた感じがする、悪心嘔吐(気持ち悪くて吐きそう)、むくむ(特に足)、
張ったような痛み、関節痛、しびれ、痛んだりしびれたりする箇所がいつも同じなどです。

 

3.湿邪を取り除くには?
ア.寒性の湿邪
寒くて湿度の高い日に症状が悪化します。身体の中に結露ができたことをイメージしてください。
この場合には、局所を温めて湿気を取り除きます。例えば、膝や足の症状に対して、
陰陵泉や三陰交にドライヤーを用いて温めるのが効果的です。

イ.熱性の湿邪
暑くて湿度の高い日に症状が悪化します。身体の中で湯気がこもったのをイメージしてください。
この場合には、喚起をよくして湿気を除去します。例えば、半身浴で喚起をよくして発汗させ、
皮膚呼吸を活発にすると同時に、血液循環を高めて排尿を促します。

 

4.梅雨時の快適な過ごし方

【半身浴で梅雨を吹き飛ばそう!】
お湯の温度は、「夏:37~39℃ 冬:38~40℃」です。
おへそから下の部分だけ浸かって、20分以上入浴します。
入浴時間の目安は鼻のあたまにうっすら汗をかくくらいまでです。
寒いときは、肩にタオルをかけておこなってください。
半身浴の場合、入浴時間が長いので体内の血液循環が非常に活発になり、
老廃物などの排泄機能が向上し、尿酸値を下げたり疲労回復につながる効果があります。
週に1度でも半身浴をすれば健康増進、老化防止に有効です。
体質改善や冷え性に。免疫力の低下した人におすすめの入浴方法です。

注意事項

  1. 消化能力の低下を防ぐため、入浴は食後1~2時間たってからにしましょう。
  2. 急激な温度変化で体に負担がかからないよう、入浴前に脱衣所や浴室を温めておきましょう(特に冬場)。
  3. お湯の温度に体を慣らすため、かけ湯は忘れずに。かけ湯をするときは足下からおこなってください。
  4. 脱水症状を防ぐため入浴前後は水分補給をしましょう。冷たい飲み物はなるべく控えて常温のものを飲みましょう!
  5. 浴槽から上がったら、開いた汗腺を閉じ、熱を逃さないために、足首から下に冷水をかけましょう。

【快適な睡眠を獲得しよう!】
日本の梅雨から夏にかけては寝苦しく、なかなか快適な睡眠が得られないというのが、誰もが実感するところでしょう。
では、この「寝苦しさ」の原因は何なのでしょうか。
日本の夏は、暑さに加えて寝床の湿度が80%と高くなっています。
この高い湿度が寝苦しさを感じさせ、眠りを浅くする原因となっています。
その結果、疲れをしっかり解消できず、起きた時から身体がだるいと感じる日が多くなってしまうのです。
このように、快適な睡眠のためには「温度」だけでなく「湿度」も重要な要素になっているのです。
ちなみに、快適な睡眠を得るための「温度と湿度」の条件は、夏の夜なら【室温28℃・湿度70%以下】、
冬の夜なら【室温16℃以上・湿度30%以上】が適していると言われています。
これからの季節は、寝苦しい季節となりますが、もし寝苦しいと感じた場合は、寝室の「温度と湿度」をしっかりチェックし、
どのように調整すれば良いか適切に判断することで、快適な睡眠環境が得られるでしょう。
合わせて気をつけたいのが、体感温度。温度を下げない、除湿や扇風機でも、
直接、風が身体に当たり続けると体温が奪われ、体感温度が下がります。
これは、体調を崩す原因になりかねませんので、就寝中ずっと風があたり続けることのないよう、注意して下さい。

【夏風邪を引かないようにしよう!】 
咳や鼻水、のどの痛みなど、上気道の症状が出現するのが本来の「風邪」です
実は医学的には「夏風邪」という言葉は本来存在せず、冬にかかる一般的な「風邪」に対して、
夏にかかる風邪を慣習的に「夏風邪」と呼んでいます。その主な原因がエアコンの効き過ぎによるものです。
ウイルスが侵入する主な部位である、のどや鼻の粘膜は免疫によって守られています。
ところがエアコンや扇風機などで乾燥してしまうと、それだけで局所的な免疫力低下を引き起こしてしまいます。
これが夏風邪の原因なんです。
また、涼しい室内から暑い屋外に出ることによる急激な温度変化は、
体温を一定に保とうと機能している自律神経のバランスまでも崩してしまいます。
この他にも夏ならではの免疫力低下の原因として、熱帯夜の寝不足、夏バテ(暑気)による食欲不振、
日焼けまでもが関わってくる可能性があります。
このため、個人の生活習慣によっては風邪の流行する冬よりも、むしろ夏に風邪をひきやすい、
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

5.まとめ
梅雨を快適に過ごすためには、普段の生活の中で生活習慣を見直し悪い習慣を正していくことが大切です。

  • 水分の取りすぎ(特に冷たい飲み物)、あぶらっこいものや甘いものの取りすぎ、お酒の飲み過ぎなどに気をつけましょう。
  • なるべく汗をかくように行動しましょう。
  • エアコンや扇風機などで身体を冷やし過ぎないように、気をつけましょう。
    場合によっては、腹巻きの着用を!
  • 精神的に、イライラしないように気をつけましょう。
    イライラした時は、コップ1杯の水を飲むとスッキリしますのでお試しください。
  • 週に1回でもいいので、半身浴を心がけましょう。

« 前のページへ戻る