第8回 高血圧にならないために (H20.8.31)

1 血圧って何だろう?
血圧とは、血液が血管を押し広げようとする圧力のことです。
心臓の筋肉が縮むときに最も高くなり(最高血圧)、逆にゆるむときに最も低くなります(最低血圧)。
血圧は、心臓が送り出す血液の量と、血管内の血液の流れやすさで決まります。
つまり、血液の量が多くなるか、血管の中を流れにくくなるときに血圧は上がります。
血圧は、日常生活の様々な影響を受けて常に変動しており、
たまたま測った血圧が高かったとしても、それだけでは病的な状態とはいえません。
血圧をくり返し測っても高血圧の基準値よりも高い場合に高血圧症と診断されます。

【高血圧の基準(日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン)】
一般的に、上の血圧(最高血圧)が140mmHg以上、
または下の血圧(最低血圧)が90mmHg以上を高血圧としています。

【理想的な血圧目標】

  1. 高齢者
    上は140mmHg未満、下は90mmHg未満
  2. 若年・中年者
    上は130mmHg未満、下は85mmHg未満
  3. 糖尿病患者・腎障害患者
    上は130mmHg未満、下は80mmHg未満

血圧は、その日の体調や精神状態などに左右されやすく、簡単に上下します。
1回だけの測定値で一喜一憂しないようにしましょう。

 

2 高血圧になる原因とその症状は?
高血圧は大きく分けて、原因がはっきりしない一次性(本態性)高血圧症と、
腎臓病やホルモン障害などのような病気が原因となって起こる二次性高血圧症に分けられます。
この中で、原因がはっきりしない一次性(本態性)高血圧症が全体の9割以上を占めていると言われています。
原因となる病気はないものの、生活習慣の乱れがその発症に大きく関わっていると言われています。
一般的に高血圧症の症状は現れにくいと言われていますが、急激な血圧上昇に伴って、
頭重、頭痛、めまい、肩こり、動悸、吐き気、手足のしびれ、ほてりなどの症状が現れることがあります。

【東洋医学コーナー】
東洋医学では、高血圧を病名としてはみず、
次のような証(西洋医学で言う病名のようなもの)に現れる一つの症状として考えます。

  1. 七情の乱れ(精神的なストレスのことで、いらいらや怒りっぽいなど) → 肝の働きがたかぶる → 肝実証
  2. 飲食(暴飲暴食や食事の不摂生など) → 脾の働きが低下 → 脾虚証
  3. 老化 → 腎精(生命エネルギー)の消耗) → 腎虚証

 

3 高血圧を予防するには?
原因がはっきりしない一次性高血圧症と診断された場合は、まずは生活習慣を見直し、
食事療法と運動療法から始めましょう。

  1. 塩分を制限 
    厚生労働省では、健康な成人の食塩摂取目標量を1日10g未満としています。
    高血圧症の場合は、日本高血圧学会の推奨する1日6g未満にします。
  2. 肥満を予防し適正体重を維持 
    暴飲暴食を慎み、腹八分目を心がけます。
  3. アルコールはほどほどに
    一日ビールなら中瓶1本、日本酒1合、ウィスキー水割りシングル2杯以内にしましょう。
  4. 禁煙 
    喫煙は動脈硬化を助長します。特に、心臓にトラブルを抱えている人は禁煙に心がけましょう。
  5. 適度な運動習慣 
    週5日間、30分間のウォーキングを行いましょう。ただし、重症な高血圧の場合は、運動は禁止です。
  6. 降圧薬の使用
    食事療法や運動療法を続けても血圧が正常値まで下がらない場合や、
    症状の重い高血圧の場合は、降圧薬による治療を行います。
    薬を始めたら、自分の判断で勝手に薬を止めたりしてはいけません。
    医師の指導で正しく服用し、血圧を適正値に保つようにしましょう。 → 重要なポイント

 

4 血圧の測り方は?
ア.血圧はいつ測ればいいの?

  1. 朝は起床後1時間以内(排尿後、食事や服薬の前に)。
  2. 夜は就寝前の安静時。
  3. 測定30分前からカフェイン含有飲料(緑茶やコーヒーなど)や喫煙、
    そして車の運転などは避ける(一時的に血圧が上昇するため)。
  4. 食後・飲酒後・入浴後などの測定は避ける(一時的に血圧が低下するため)。

イ.どのように測ればいいの?

  1. 測る腕は利き腕の反対側が一般的(主に左側)。
  2. 座った姿勢で上腕を締め付けない服装で。
  3. 腕をテーブルなどの上に乗せ、腕帯を心臓の高さに保持する。
  4. 1~2分間は安静にした後に測る(会話を止め目を閉じて深呼吸をしながら)。

 

5 高血圧チェックリスト
高血圧になりやすさのチェックリストです。該当するものがいくつあるか数えてみてください。

  1. 家族に高血圧の人がいる。
  2. 濃い味付けのものが好き。
  3. 野菜や果物はあまり食べない。
  4. 運動をあまりしない。
  5. ストレスがたまりやすい。
  6. タバコを吸う。
  7. お酒をたくさん飲む。
  8. 肥満である。
  9. 血糖値が高いといわれたことがある。
  10. 脂っこい食べ物が好き。

チェック項目が二つ以上ある人は要注意です。
チェックの数が多いほど高血圧になりやすいので注意が必要です。

 

6 まとめ
高血圧を起こさないためには、普段の生活の中で生活習慣を見直し悪い習慣を正していくことが大切です。

  1. 規則正しい生活を送り、「十分な睡眠時間」をとりましょう。
  2. 食生活には気を付けましょう。特に、「肥満にならないように」心がけましょう。
  3. トイレで用便中に力む時間が長いと血圧が上がります。
    ふだんから「便秘の解消」を心がけましょう。
  4. 冬場の外出や入浴などのように暖かい所から急に寒い所へ出ると、血管が収縮して血圧が上がります。
    「急な寒暖の差」に気をつけましょう。
  5. 精神的に、「イライラしない」ように気をつけましょう。
    イライラした時は、コップ1杯の水を飲むとスッキリしますのでお試しください。

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