第13回 便秘にならないために (H21.2.15)
この時期は、1年で一番雪が降る季節です。
とはいえ、季節はもう立春を過ぎました。
春ももうすぐそこに来ています。
みなさんおかわりありませんか?
今回は、女性に多いと言われる「便秘」の解消法について皆さんと一緒に勉強したいと思います。
1.便秘って何?
一般に便秘とは、三日以上お通じがない状態をいいますが、
それ以外に「なかなか出ない」・「出ても量が少ない」・「お腹が気持ち悪い」・「下腹部が張った感じがする」・
「お腹が痛い」などがあって、日常生活に支障が出るなどの状態のことも含んでいます。
排便回数には個人差が大きいので、2~3日に1回でも、
その人の生活のリズムの中で規則的にスムーズに排便されていれば便秘とは言いません。
逆に、毎日お通じがあっても便の量が極端に少なかったり、排便した後もすっきりせず、
残便感があったりする場合は便秘なので、「私は毎日お通じがあるから大丈夫だわ!」と安心していてはいけません。
便秘は、肩こりや頭痛を初めとして、肌荒れや痔、大腸がんなど、様々な病気の原因になります。
特に女性は、男性より腹筋が弱い上、無理なダイエットなどによって、
元々の食事量が減っているため、便の元自体が少ない場合も多いので注意が必要です!
【東洋医学コーナー】
東洋医学では、便秘のことを「大便秘結(だいべんひけつ)」、
「大便難(だいべんなん)」、「不大便(ふだいべん)」などと呼んでいます。
東洋医学では、便秘を原因により次のように分けます。
① 精神的ストレスが長期化することにより、消化・吸収の働きが抑制されて起こるもの
:「肝脾気滞(きたい)」。
② インフルエンザで高熱が出たり、辛いものの食べ過ぎなどで、体内の水が消耗して起こるもの
:「胃腸実熱(じつねつ)」。
③ 疲労や冷たいものの飲食などで体内の水バランスが崩れて、それが消化機能に影響して起こるもの
:「肺脾または脾腎陽虚(ようきょ)」。
2.便秘の原因とその症状は?
今回は、便秘の中でも最も身近な便秘、つまり生活習慣の乱れなどから起こる
慢性の便秘(常習性便秘)について紹介したいと思います。
常習性便秘は、その特徴から3種類に分類されます。
① 弛緩性(しかんせい)便秘
太くて長い便が特徴です。
腸の働きが弱いために起こるもので慢性便秘の中で最も多く、高齢者や子供に多く、生活習慣から見直すことが大切です。
運動不足や消化のいいものばかり食べている人に多くみられます。
② 痙攣性(けいれんせい)便秘
細くて短い便、つまりウサギのようにころころした便が特徴です。
腸の働きが強すぎて腸の痙攣性収縮によって起こるもので、精神的・心理 的な要因(ストレスなど)が強く関係しています。
便秘と下痢を繰り返す交代型の人もいます。精神的なストレスが持続している場合に多くみられます。
③ 習慣性便秘
直腸に便がたまると便意を生じますが、時間がないために便意が起きてもつい我慢してトイレに行かなかったり、
浣腸(かんちょう)を繰り返し使ったりと、意識的に、かつ習慣的に便意を抑制することで起こるもので、
最近増えている便秘のタイプです。
3.快適な排便を得るための5つの条件とは?
① 食物繊維の摂取
食物繊維は、野菜・果物・穀物などに多く含まれており、柔らかく大きな便を作るために必要なものです。
a.野菜:モロヘイヤ、カボチャ、ブロッコリー、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、ホウレンソウ、ズッキーニなど
b.果物:リンゴ、モモ、ラズベリー、オレンジなど
c.穀物、パンや豆類:ウズラマメやソラマメなど
d.シリアル食品:こんにゃく、きなこ、海草類など
また、これら以外に乳酸菌を含む食品を積極的に摂ることにより、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
② 水分の摂取
水分は便を柔らかく保ち、通りを良くします。
なので、水分を十分取っただけで便が排出されたり、又は症状が改善される場合も多いです。
日頃、こまめに水やお茶、もしくは野菜や果物のジュース、スープなどを摂取するのがよいでしょう。
ただし、カフェインやアルコールを含む飲料は、消化器の水分を減らす傾向がありますので
飲み過ぎないように気をつけてください。
③ 脂肪の摂取
脂肪は腸管を滑らかにする働きがありますので、摂取することで便の通りがよくなります。
よって、普段あまり油物を摂取していない人は少し摂取してみるのもいいでしょう。
④ 十分な運動
規則正しい運動は消化器を活発にします。
運動は軽いものでも十分で、毎日20~30分の歩行で結構です。
また、軽い筋トレ(特に腹筋強化)や下半身のストレッチなども効果があります。
⑤ 十分な排便の時間
便意を無視しないようにしましょう。
特に、朝食をしっかり取った後は、必ずトイレにいくような生活習慣が大切です。
朝食前は体温が低く体全体の活動も活発でないため排泄時間には向きません。
以上のことをやってもだめな場合は、下剤を使う方法があります。
でも、下剤は使い過ぎるとくせになりますので、自分勝手に服用せず、必ず主治医と相談して使用するようにしてください。
4.便秘のチェックリスト
次の中から該当するものを選んで、その数を数えてみてください。
その数が多ければ多いほど、あなたのからだは便秘に傾いています。
- お腹が張る。
- トイレを我慢することが多い。
- 運動不足である。
- 排便が3日ないことがよくある。
- 口臭が気になる。
- 肌荒れ、にきび、おできがよくできる(治りにくい)。
- 旅行をすると便が出ない。
- 朝食をとらないことが多い(食事を三度摂らない)。
- 長時間座りっぱなしの仕事である。
- 菓子類の摂取が多い。
- 水分をあまり摂らない。
- ダイエット(減量)をすることが多い。
- 野菜や果物が嫌い(野菜や果物の摂取が少ない)。
- ストレスが多い。
- 下痢が続くことがある。
5.まとめ
便秘で苦しんでいる人はたくさんいます。なので、自分でできる簡単な体操を以下に紹介します。
① 排便体操とツボ指圧
a.寝るときに布団の上で、おへそを中心に両手を重ねて「の」の字を書きます。
必ず時計回りに書くことが大切です。
b.身体をリラックスさせてゆっくり腹式呼吸をします。
膝を立てて仰向けに寝て、膝を左右に倒します。
このとき、顔は膝と反対方向に向けます。
c.指の腹で心地よい程度の強さで左右の「天枢(てんすう)」と「大巨(だいこ)」のツボを押します。
徐々に力を入れ、徐々に力を抜くように5秒間押してください。左右それぞれ5回程度です。
※ 天枢は、へその外側3㎝程度のところにあります。また大巨は天枢の下3㎝程度のところにあります。
② 便失禁予防体操。
弱くなった肛門括約筋を回復させる体操です。
a.つま先を曲げ伸ばしする体操
仰向けに寝て、お腹に手を当てます。
つま先を身体の方に10秒間引っぱった後、ゆっくりと足の甲を伸ばします。
これを毎日5回繰り返しましょう。
b.お尻に力を入れる体操
仰向けに寝て、お腹に手を当てて膝を立てます。
お尻の中心に気持ちを集めるように、キュッとおしりのアナをすぼめるように力を入れます。
毎日3秒持続させるのを5回繰り返しましょう。