第18回 免疫力とビタミン (H21.9.27)
だいぶんと秋めいてきましたが、皆さん夏の疲れは残っていませんか。
免疫力が低下すると、風邪をはじめ、いろんな病気にかかりやすくなります。
新型インフルエンザが流行しつつある中で、病気に打ち勝つ免疫力について、
今回は「ビタミン」に焦点を当てて皆さんと一緒に勉強したいと思います。
1.免疫って何だろう?
免疫とは、身体が病気、例えば風邪やインフルエンザ、そしてがんなどに対して抵抗力を獲得する現象です。
つまり、免疫力を高めることが、様々な病気に打ち勝つための必要条件となってくるわけです。
一般的に言って、免疫力を低下させる最大の原因は疲労です。
疲労には肉体的な疲労と精神的な疲労の2つがあります。
そんな疲労を残さない基本的な生活習慣を守ることが大切となります。
免疫力を高めるために必要な生活習慣とは、「充分な睡眠」、「バランスのとれた栄養」、「適度な運動」の3つが基本となります。
【豆知識】
肉体的な健康を維持するために必要な体力を、行動体力と防衛体力に分けます。
行動体力とは、「適度な運動」、つまりウォーキングや筋力トレーニングなどによって得られます。
主に体力向上につながります。
防衛体力とは、「充分な睡眠」と「バランスのとれた栄養」によって得られます。
主に、免疫力向上につながります。
このように肉体的な健康とは、体力が充実していて、かつ免疫力も充分な状態を指しています。
また、WHOの健康の定義の中には、「精神的に健康であること」や
「社会的にも健康な人間関係を維持できるもの」というのがさらに加えられています。
2.免疫力を高めるビタミンとは?
ここでは、免疫の働きを高める3つのビタミンについてお話しします。
(1) 粘膜強化はビタミンA
粘膜が傷つくと、病原菌が身体に入りやすくなります。
ア.主な働き
視力と胃腸や肺、生殖器、鼻、気管支の粘膜を正常に保ち、成長を促進します。
免疫細胞の働きを活発にするので、抗がん作用があります。
細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があります。
イ.含まれている食品
うなぎの蒲焼き、ウナギ肝、にんじん、カボチャ、春菊、ニラ、ほうれん草、マーガリン、鶏卵、海苔、バター、玉露茶など。
ウ.欠乏すると
皮膚や粘膜が乾燥する、消化が悪くなる、夜盲症、感染症に対する抵抗力の低下など。
(2) 粘膜を突破した病原菌と戦う免疫抗体の役割はビタミンCとE
これらのビタミンは防衛ビタミンと言われています。
① ビタミンC
ア.主な働き
コラーゲン(お肌の張りや潤いを守る美容には欠かせない蛋白質成分)の合成を促進します。
免疫機能を高め、新型インフルエンザなどのウイルスに対する抵抗力を高めます。
鉄分の吸収を高め貧血を予防します。
細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があります。
がん、心疾患、白内障にかかりにくくなります。
イ.含まれている食品
緑黄色野菜(ブロッコリー、ピーマン、芽キャベツなど)、ジャガイモ、サツマイモ、
柿、いちご、キウイフルーツ、レモン、みかん、煎茶など。
ウ.欠乏すると
全身の倦怠感、食欲不振、筋肉痛、歯茎の出血、シミ、ソバカス、皮膚のかさつきなど。
② ビタミンE
ア.主な働き
生殖器を正常に保ち、流産を防止します。
血液の流れをよくします。
心臓病の改善に働きます。
酸化による細胞の老化を防ぎます。
更年期障害の予防と症状改善につながります。
イ.含まれている食品
ナッツ類(アーモンドやピーナッツなど)、アボガド、マーガリン、たらこ、うなぎ、緑黄色野菜、煎茶や抹茶など。
ウ.欠乏すると
シミができやすい、冷え性、しもやけ、不妊症、心臓病など生活習慣病の進行、運動能力の低下など。
【東洋医学コーナー】
東洋医学では、ビタミンも一般の栄養素とあわせて「水穀の気」と呼んでいます。
この食物中の栄養素である「水穀の気」と、空気中の酸素である「天空の気」が体内で合して元気がつくられるのです。
この元気が充実している限り、健康で長生きできる身体が支え続けられていくのです。
3.免疫力チェックリスト
次の中から該当するものを選んで、その数を数えてみてください。
その数が多ければ多いほど、あなたの免疫力は低下気味です。
- 運動不足である。
- 風邪をひきやすく、治りも遅い。
- ストレスがたまっており、疲れが取れない。
- お酒を飲むとよく二日酔いになる。
- 口内炎になりやすい。
- 脂っこい料理や肉料理が好き。
- 緑黄色野菜や果物をあまり食べない。
- 排気ガスの多いところで生活している。
- 冷え性である。
- 肌が荒れやすい。
- お腹を下しやすい。
- 体温が35度台である。
- 最近、睡眠不足が続いている。
4.まとめ
免疫力を高めるためには、普段の生活の中で生活習慣を見直し、悪い習慣を正していくことが大切です。
- 規則正しい生活を送り、「適度な運動」や「十分な睡眠時間」をとりましょう。
- 水分の取り過ぎ(特に冷たい飲み物)、脂っこいものや甘いものの取り過ぎ、お酒の飲み過ぎなどに気をつけましょう。
- 緑黄色野菜や果物をしっかり取りましょう。
- 身体を冷やさないように、気をつけましょう。冷え性の人は、靴下や腹巻きの着用、そして半身浴なども効果的です。
- 精神的に、イライラしないように気をつけましょう。
イライラしたときは、コップ1杯の水を飲むとスッキリしますのでお試しください。