第22回 滑って転ばぬ生活の知恵 (H22.1.24)
いよいよ新しい年が明けました。元旦早々、岐阜では大雪が降りましたけど、皆さん滑って転んだりしませんでしたか?
ご高齢の方が滑って転倒すると、骨折を招き、入院後、歩けなくなって寝たきりとなる方が多いと言われています。
そこで新年最初のテーマは、滑って転ばぬための生活の知恵について考えたいと思います。
皆さん一緒に勉強しましょう。
1.ご高齢の方に転倒事故が起きやすい理由は?
ご高齢の方が転倒事故を起こしやすい理由の一つに、足腰の筋力の低下があります。
ご高齢の方の歩き方を見てみると、ほとんどの方が歩幅の狭い歩き方をされています。
これは、歩幅を広げて歩くだけの筋力がなくなってきていることを表しています。
また、ご高齢の方は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という骨がもろくなる病気を併せ持っていることが多いので、
転倒するだけに留まらず、骨折の危険性も高まります。
ある程度の歩幅で歩いていた方が、小股で歩くようになると、ちょっとした段差でもつまずきやすくなり、転倒して骨折を招くのです。
2.転倒予防につなげる生活の知恵 ~ 6つのポイント
① 冬場は路面が凍結していることが多い
外出は極力昼間に行い、凍結が起こる早朝や夕方は外出しないようにしましょう。
② 履き物は極力低めのものを使用し、サンダルのような簡易なものは避ける
高さの高い履き物は、転倒の危険性を高めます。しっかりした安定感のある履き物を使用しましょう。
③ 杖をつくのは、弱った足と反対側に
弱ったり痛めた側に杖をついている方が多いようです。少しでも健康な側につくように心がけましょう。
④ 毎日の運動は、「がんばらない」、でも「あきらめない」という気持ちで
一般に、ウォーキングの目的は生活習慣病の予防ですが、筋力トレーニングは体力の向上に主眼を置いています。
是非、週に2~3回程度の筋力トレーニングを生活の中に取り入れましょう。
足腰を丈夫にするにはスクワットがいいですよ。
⑤ 水分摂取を忘れずに
水分を控えると、めまいを起こし、転倒しやすくなります。
また、脳梗塞や心筋梗塞の危険性も高まります。普段からこまめに水分を取ることを心がけましょう。
冷たい水やお茶は、身体の老化を早めますので、温かい飲み物を飲むよう心がけましょう。
(腎臓や心臓に疾患のある人などは医師の指示に従ってください。)
⑥ 紫外線を浴びて骨を丈夫に
骨の成長は、太陽を浴びることで促進します。冬場の「ひなたぼっこ」を生活の中に取り入れましょう。
3.『転倒予防カルタ48句』のご紹介
次に紹介するカルタは、2008年6月に「転倒予防医学研究会」が転倒の危険性を認識し、転ばないための知恵や工夫を学び、
その知識が多くの人に広がるように願って、新聞などで広く募集をして、集まってきた読み句をまとめたものです。
この読み句の中には、家の中や屋外、病院、介護施設等、さまざまなところで起こった「転倒」のエピソードや、
転ばないための知恵や工夫などが盛り込まれています。皆さんの生活の参考になれば何よりです。
(この内容は、『転倒予防医学研究会』様に了解を得て、掲載させていただきました。)
い 命の水を大切に
ろ 廊下にも 足下(あしもと)照らす電気つけ
は はき物は 足の形とサイズに合わせ
に 日光はビタミンDの製造器 骨は丈夫に 筋肉しっかり
ほ ほらあるよ そこに段差が 気をつけて
へ 部屋の中 すっきり片付け つまずき予防
と とんとんと 降りる階段 油断せず
ち 近くても つっかけはかず 靴はいて
り 両手にハナより片手に杖を
ぬ 濡れ落ち葉 妻の散歩におつきあい
る 留守居役(るすいやく) 電話がなっても慌てずに
を 「親(をや)」という 名選手でさえ老化で転倒 「いわんや」私は用心用心
わ 和式の生活見直そう 気付かぬうちに バランス訓練
か 片足立ちを意識する
よ 夜トイレ ゆっくりあせらず 落ち着いて
た 畳でも すべる つまずく 危険がひそむ
れ レンコンのようにならない骨づくり
そ 掃除機も からだづくりの健康法 ゴミ出し おつかい フトン上げ
つ つかってないとさびてくる さびたらなかなか うごかない
ね ねんねんころり(NNK)にならないために 転倒防いでピンピンコロリ(PPK)
な 何もないバリアフリーの落とし穴 使わぬ足腰 衰え転倒
ら 楽をして からだの弱り 進めまい
む 無理なく楽しく30年
う ウォーキング 手をあげ 顔あげ 脚あげて
ゐ ゐい(いい)骨を つくるためには ビタミンK
の 脳トレに 足腰使って一石二鳥
お お風呂場は すべるところの代名詞 注意ひとつで良い加減
く クスリには 効果もあればリスクあり 数が増えれば 要注意
や やわらかな筋肉・関節づくりに ストレッチ
ま マンホール フタがぬれるとすべるもと 雨の日には ゆっくりと
け 健脚度 転ばぬ先の 自己チェック 歩く またぐ 昇って降りる
ふ ふとんでも つまずく人って 多いのよ
こ 転んでも起きればいいや
え エコなれど 階段灯は番外さ
て 転倒はからだの衰えのサインなり
あ 足の先大事にしよう 爪も見て
さ 歳々年々 人同じからず
き きれいな人 見とれてないで 前見てね
ゆ ゆるゆるスリッパ危険度アップ
め めくれている 敷物あぶない 転ぶもと
み 見た目より 段差は高いぞ 足上げよう
し 四季感じ 歩く楽しみ 目に耳に
ゑ 笑顔こそ 転ばぬ先の杖なりき
ひ 膝と腰 しっかり伸ばせば転ばぬ姿勢
も もう遅い いやこれからだ 転ばぬ体操
せ 席探す前に まずつかまろう バスの中
す すぐ拭こう 床の水ぬれ 大きなリスク
ん ん、ん、と、足指(あしゆび)踏ん張り 大地を歩く
4.まとめ
転倒予防を目的に、各地の整形外科や病院などでは、数年前から「ダイナミックフラミンゴ療法」という体操が盛んに行われています。
難しい名前ですが、やってみるととても簡単ですので、皆さん是非お試しください。
- 柱かテーブルに捕まって立ちます。
- 片足を上げます。
- そのままで1分間を目標にがんばります。
- 1分経過したら、反対側の足も行って終わりです。
この体操を毎日行うと、太ももの骨や骨盤の周りの筋肉が丈夫になります。
その結果、転びにくくなったり、骨折の予防につながると言われています。
できない方は片足20秒ずつでもいいですので、できるところから是非始めてみてください。
知らず知らずのうちに、足腰が丈夫になっていきますよ。