第23回 花粉の舞い散る季節 (H22.3.28)
先月はお休みしましたが、みなさんお変わりありませんか?
あんなに寒い日が続いていたのに、知らないうちにもう春の訪れを感じさせられる季節となりました。
ふと周りを見渡すと、あちこちでくしゃみをしたり、マスクをしている人が増えているようですね。
そこで今回は、国民病とまで言われている花粉症についてみなさんと一緒に勉強したいと思います。
1.花粉症の原因は?
花粉症を引き起こす植物は60種以上あると報告されています。
その中で、春先に大量に飛散するスギの花粉が原因であるものが多いようですが、ヒノキ科・ブタクサ・マツ・イネ科・ヨモギなど
他の植物の花粉によるアレルギーを持つ人も多くいます。
なんと、日本でスギの木が植えられている面積を全て合わせると、日本全土の12%にもなるんですよ。
スギ花粉症患者の7~8割程度はヒノキ花粉にも反応します。
また、スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、イネ科やシラカバによる花粉症が多いなど、地域差もあります。
ヨーロッパにおけるイネ科の花粉症、アメリカのブタクサ花粉症、そして日本のスギ花粉症の3つを合わせて、
世界の3大花粉症と呼ぶ人もいます。
『東洋医学コーナー』
東洋医学では花粉症という病はありませんが、「花粉」が原因で起こる症状全般を表証と捉えています。
表証とは、主に身体の表面近くに現れる症状群を指しています。
風邪の初期も表証と考えますので、同じ治療がおこなわれます。
あの漢方で有名な風邪の名薬「葛根湯」が花粉症にも処方されるんですよ。
2.花粉症の症状は?
主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみとされ、一般に花粉症の4大症状と呼ばれています。
これらの他に、集中力がなくなってきたり、睡眠不足やいらいら感、そして食欲不振なども生じてきます。
うつなど心理的影響を呈する場合もあります。
また、においが障害されたり、咳や痰、喘息、耳のかゆみなどが現れたり、頭痛や頭重感、
微熱やだるさなどの全身症状を呈する場合もあり、風邪とよく間違えられることがあります。
【風邪との見分け方】
花粉症は、水のようなサラサラした鼻水と目のかゆみが特徴的です。
この点が風邪との大きな違いです。
風邪であれば、一般的には目のかゆみはなく、数日のうちに鼻水は粘りけの強いものになり、さらに黄色や緑など色のついたものとなります。
また、屋外の方が花粉が多いため、外出時にはおのずと症状も強くなるという点も風邪との違いとしてあげられます。
逆に、屋内の方が症状が強い場合、ダニやほこりなどのハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎を疑った方がよいでしょう。
3.花粉症の予防法 ~ 10のポイント
花粉症の症状は、花粉と接触したときにのみ現れますので、それを防ぎさえすれば症状は現れません。
そのため、花粉との接触を断つことが最も効果的な対策といえます。
このような対策により、花粉との接触をできるだけ避け続けていれば、年を経るごとにアレルギー症状がだんだんと少なくなっていくことが期待されます。 接触を続けていればアレルギー症状も強くなり、症状もひどくなります。
① 生活リズムを整える
不規則な生活リズムや、睡眠不足、過労や精神的ストレスによる自律神経のバランスの崩れはアレルギー症状を悪化させることがあるため、
これらを避けることは症状軽減に有効な場合があります。
② 喫煙を避ける
汚染物質は症状を悪化させることもあると言われており、喫煙を避ける、副流煙を避ける、
ディーゼル車や工場排気などの大気汚染も避けた方がよいでしょう。
特に、「親が喫煙者である家庭の子どもはアレルギーを発症しやすい」との統計もあり、
妊娠中および幼小児のいる家庭では、喫煙は避けるべきです。
③ 飲酒を避ける
飲酒は血管を広げて鼻水を増やすため避けた方がよいでしょう。
ごく少量であれば、人によりほとんど問題にならないとも言われますが、当日のみならず翌日にまで影響する場合もあると言われています。
④ 外出時にマスクやゴーグルを着用する
マスクはいろいろなタイプのものが市販されていますが、その材質よりも、付け方が問題となります。
鼻をしっかり覆って、隙間を作らないことがポイントです。特にマスクは、スギ花粉症のシーズン特有の乾燥や低温から
鼻粘膜を保護することにもつながり、シーズン前(発症前)からの着用が推奨されます。
ゴーグルほどの目の保護機能がなくても、いわゆる「だてメガネ」でも有効であることが証明されています。
コンタクトレンズは、結膜炎を悪化させたり、花粉が付着しますので避けた方がよいでしょう。
どうしても必要なら、使い捨てソフトコンタクトレンズの方がよいでしょう。
安いものは30枚入りで1,800円前後のものからあります。
詳しくは眼科で相談してください。
⑤ 晴れて風の強い日は外出を避ける
天候によっても飛散量は異なり、晴れて気温が高く、湿度の低い風のある日が花粉が多いようです。
雨の日であれば飛散量は少ないかゼロです。
雨の日の翌日に晴れると、2日分の花粉が飛ぶと言われますので要注意です。
普段から、花粉飛散情報に注意しておきましょう。
⑥ 自宅の玄関前で衣服に付いた花粉を払い落とす
室内に花粉を持ち込まないよう、花粉の付着しにくいすべすべした上着を着用したり、
帰宅時に玄関の外で花粉を落としてから入室することが推奨されています。
換気などのために窓を開けることはもちろん、洗濯物や布団などを屋外に干すことも避けた方がよいでしょう。
⑦ 室内では空気清浄機や加湿器を使用する
室内に浮遊している花粉を除去する空気清浄機や、清浄機能のあるエアコンを使用するのもよいでしょう。
加湿器も、浮遊している花粉を湿らせて重くし、落下を早めるために有効とされています。
湿度を高めることは、鼻やのどの粘膜を保護するためにもよいことです。
ただし、湿度を上げ過ぎるとダニやカビの問題が出てきます。
一般に湿度50%程度が適当と言われています。
加湿器がない場合、ぬれたタオルなどを室内干しするのも効果があります。
⑧ 鼻や目の洗浄
鼻や目の洗浄は、水道水を避け、薬局で市販されている洗浄液を使いましょう。
洗浄の前には、顔、特に目の周りや鼻の下に付着している花粉をよく洗い落としておきましょう。
鼻や目の洗浄は、頻回に行うとよくないと言われますのでご注意ください。
⑨ 温かいスチームの吸引
温かいスチーム(43℃程度)を吸入するという治療法もあり、器具も市販されています。
器具がない場合、蒸しタオルなどを顔にあてて湯気を吸入してもよいでしょう。
この効果は医学的にも確かめられています。
100%有効であるわけではなく、その効果も弱いですが、薬剤を使わないため、妊娠・授乳期の女性には第一選択となる治療法です。
⑩ 冷やしたタオルで目を冷やす
目のかゆみに対しては、冷やしたタオルなどを目にあてると一時凌ぎになると言われています。
こうした目の症状が出やすい人は、ドライアイの人に多いとも言われますので、その対策にも気を使うとよいでしょう。
以上述べてきた予防法でも症状が軽減しない場合には、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などの服用薬が効果をあげています。
主治医の先生と相談してから服用するようにしてください。
4.まとめ
花粉症を予防するための基本的な考え方をまとめると次の3つになります。
- 生活リズムを整え、不摂生をしない
- 屋外ではマスクやゴーグルなどをつける
- 花粉を家庭内に持ち込まない
これ以外に甜茶(テンチャ)・グァバ茶・べにふうき緑茶、そして乳酸菌を含む食品(ヨーグルトなど)も症状を抑える効果があるとされてますので、
もしもよければお試しください。
みなさん、今週半ばには「風薫る季節」の4月が幕を開けます。少しでも花粉症の症状を抑え、快適な月の初めを迎えてくださいね。