第36回 あなたの水分足りてますか? (H23.7.24)

先月の後半から続いている、この猛暑。私はなかなか、この気候の変化に身体が追いついていきませんが、皆さんはいかがですか?
今回は、日本列島を覆い尽くしているこの猛暑が引き金となって起こる脳梗塞を未然に防ぐための様々な知恵について、皆さんと一緒に勉強したいと思います。

 

1.6月の新聞記事から
今年の6月に熱中症で病院に運ばれた人は全国で6,877人で、昨年同月(2,276人)の約3倍に上ったことが、総務省消防庁の統計(速報値)でわかった。うち15人は搬送後に死亡した。
同庁は「室温が28度を超えないようにエアコンや扇風機を使い、意識的に水分補給をして欲しい」と注意を呼びかけている。
一方岐阜県内では、今年の6月に熱中症で救急搬送された人は140人で、前年同期の3.2倍に増えたことが分かった。
岐阜市で6月としては観測を始めた1883(明治16)年以降で最高の36.2度(29日)を記録するなど、暑さの厳しかった下旬(21~30日)に搬送された患者が125人と約9割を占めた。
患者の年齢別では65歳以上が前年同期の4.4倍の79人で最も多く、全体の56%を占めている。県は「体温調節機能が衰えてくる高齢者や、持病がある人などは特に注意が必要」と指摘している。
今夏は各方面で電力需給の逼迫に備えた節電対策が推進されているが、県は「節電を意識する余り、健康を害することがあってはならない」と強調している。

 

2.脱水症に注意

(1) 脱水症になると
脱水症とは、体内の「水分」が少なくなったり、「塩分」が少なくなった状態を言います。
脱水症になると、頭痛や吐き気などを感じ、皮膚は乾燥して”しわくちゃ”になってきます。
さらにひどくなると、意識障害やショック症状などで命に関わることにもなります。
酸素と栄養を含んだ血液は心臓から送り出されるわけですが、血液の水分が不足すると細胞に酸素と栄養が行き渡りにくくなります。
また、水分量が不足すると血液中の水分も少なくなり、血液量全体が減少して血圧が低下してきます。
暑い季節になると、熱中症になる人が増えてきます。この熱中症も、発汗による体内での水分不足が原因で起こりますので注意が必要です。

(2) 脱水症の見分け方
次のような症状が見られたら、脱水症を疑います。

  1. 血圧低下による、「立ちくらみ」や「めまい」
  2. 脇の下など「発汗の低下」
  3. 末端への「血流低下」
    爪を5秒ほど押さえてから離して、男性では2秒以上、女性では3秒以上、高齢者では5秒以上、色が戻らないと要注意(普通、押さえた後は白っぽくなり、離すとピンク色にすぐもどります)。
  4. ハンカチーフサイン
    手の甲の皮膚をつまんで離しても、すぐに戻らずハンカチをつまんだ形になったら要注意。

(3) 脱水症の症状と対策
脱水症になると元気がなくなり、だるさ、食欲不振などがあり、ひどくなると意識が無くなるようなこともあります。
このような時には水分補給が必要になりますが、水分補給にはスポーツドリンクのような塩分や電解質を含んだものが良く、WHO(世界保健機構)では経口補水液を推奨しています。
経口補水液は、一般の薬局などで販売されており、スポーツドリンクよりも少し塩分が多く糖分が少ない飲み物になっています。

【東洋医学コーナー】
東洋医学では、熱中症のことを「熱邪」の侵襲、つまり体の外で発生した熱によって攻撃される場合を指しています。
熱邪の影響を受けるということは、体内の正気(抵抗力)が不足しているか、外から侵入する熱邪の勢いが盛んであるかのどちらかです。
充実した正気は、バランスの取れた食事(水分や塩分を含む)、充分な睡眠、適度な運動によって得られます。

 

3.脳梗塞のサイン
脳梗塞は、脳の血管が詰まってその先へ血液が流れなくなってしまう病気です。
詰まる場所によっては顔面や手足の麻痺、言語障害、歩行障害、意識障害などを起こしてしまいます。
昨日まで元気だった人が、突然発作を起こし、重篤な状態になることも少なくありません。
血液中の水分が不足すると、血液がどろっとして血管が詰まりやすくなります。
脳梗塞は、午前中や夜中に起こりやすいと言われています。それは寝ている間に汗をかき、水分が奪われてしまうため、朝起きて水分を摂取しないでいると、どろどろとした血液が詰まって脳梗塞の発作を起こしてしまう可能性が高くなるからです。
また、睡眠中にトイレが近くなることを恐れて、寝る前は水分を控える人が多いようですが、そのために血液が濃くなり、夜中のうちに詰まらせてしまう原因にもなっています。

脳梗塞のサインに気づいていれば助かったのに…、という事例があります。

あるバーベキューパーティーで女性がつまずいて転びました。心配して駆け寄るみんなに、彼女は「大丈夫、新しい靴だったので、ちょっと石につまづいただけ」と言いました。
周りの人は彼女を起こしてあげた後、泥を払い、新しいお皿を渡しました。彼女はちょっと震えていたようですが、その後は楽しそうにしていました。
その晩病院に運ばれ、夫から彼女は亡くなったことを伝えられました。
パーティーで彼女は脳梗塞を起こして転んだわけですが、このときそれが脳梗塞のサインだとわかっていて、すぐに病因へかけつけていれば、助かっていたかも知れません。

専門医によると、脳梗塞を起こした患者を3時間以内に診ることができれば、助かる確率が高まるそうです。つまり、最初のサインを見逃さないことが重要なポイントとなる訳です。

☆簡単に脳梗塞のサインを見極める方法☆
以下のうち、1つでもできないものがあったら、すぐ救急車を呼んで症状を伝えましょう。3時間が生死の境を決定します。

  1. 笑顔を作ってもらう
    笑顔が作れず、表情がこわばっていれば要注意です。
  2. 簡単な文を整然と言ってもらう(例えば、「今日はいい天気だね」など)
    ろれつが回らない場合は要注意です。
  3. 肘を伸ばしながら、両腕を真っ直ぐ前に上げてもらう
    もし、片方の腕が下がっていれば要注意です。
  4. 舌を真っ直ぐ前に出してもらう
    もし舌が曲がっていたり、片方に寄っていたりしたら要注意です。

 

4.自覚がなくても疲れている!?夏バテ度チェック
あなたは毎日そうめんばかり食べていたり、冷たい飲み物がおいしくて止められなかったり、なんて状態になっていませんか?
この時期、すっかり夏バテしている人がいるかと思えば、上手に暑さを乗り切っている人もいます。
元気そうに見えて実は着々と疲れが体に蓄積中、といった夏バテ予備軍も多いようです。
この機会に、今の自分の夏バテ度をチェックしておきましょう。
下のチェックテストに「はい」「いいえ」で答え、その「はい」「いいえ」の欄にある点数を合計してください。合計で出た数値が、あなたの「夏バテ度」です。

  1. 夏はどうしても食事をつくるのが面倒になる
    はい(1点)、いいえ(0点)
  2. このところ、同じようなものを繰り返し食べている
    はい(2点)、いいえ(0点)
  3. 食事はあっさりしたものや、のどごしのよいものばかり食べている
    はい(3点)、いいえ(0点)
  4. 暑いので、つい火を使わない料理が多くなる
    はい(1点)、いいえ(0点)
  5. 夏になってから、どうも食がすすまない
    はい(2点)、いいえ(0点)
  6. のどが渇くので、ジュースや炭酸飲料などを1日に1リットルくらいは飲んでしまう
    はい(3点)、いいえ(0点)
  7. 食欲がないときの食事は、すいかやアイスクリームなどですませることがある
    はい(3点)、いいえ(0点)
  8. 夏バテ防止に焼き肉、うなぎのかば焼き、豚カツなどをよく食べる
    はい(2点)、いいえ(0点)
  9. 日中は暑いので動く気がせず、家でダラダラと過ごしている
    はい(2点)、いいえ(0点)
  10. 汗をかかないように、水分はできるだけ控えている
    はい(2点)、いいえ(0点)
  11. 暑さに弱いので、部屋はクーラーをガンガンきかせている
    はい(1点)、いいえ(0点)
  12. 寝苦しいせいか、寝不足の日が続いている
    はい(2点)、いいえ(0点)
  13. 夜遅くまで、テレビを見たり、ビデオ鑑賞や読書を楽しんでいる
    はい(2点)、いいえ(0点)
  14. 昼食を抜いて、少し涼しくなる夜にまとめて食べるときが多い
    はい(3点)、いいえ(0点)
  15. 夏の晩は、仕事帰りについビアガーデンに立ち寄ることが多い
    はい(2点)、いいえ(0点)

※ 出典:(NHK出版「今日の健康」テキストより)

☆22~31点:完全に夏バテで賞
きっと自分でも夏バテだと感じているはず。食生活などを見直して、夏バテから脱出しよう。

☆8~21点:夏バテ予備軍
今は自覚がなくとも少しずつ体は夏の疲れをためこんでいる状態。早めにケアを。

☆0~7点:祝♪夏バテ知らずの元気人
あなたは今のところ夏バテの心配なし。とはいえ、まだまだ暑い日が続く時期、今のコンディションを維持する工夫をしていこう。

 

5.まとめ
夏の暑さは、これからが本番です。外出時には水筒と日傘(または帽子)と扇子の準備、また屋内では室温をこまめにチェックし、エアコンや扇風機で調節するといった予防対策が望まれます。
1日の水分摂取の目安としては、朝目覚めたとき、午前10時と午後3時のおやつのとき、入浴前後、寝る前などにコップ1杯ずつのお水かお茶を飲むことをおすすめします。特に、この中で重要なのは朝起きたときと、夜寝る前の補給です。
これ以外に、1日3回の食事のときにも1杯ずつ飲めば、1日に必要とされる1.5リットル程度の水分が補給できます。こまめな水分補給が健康のカギを握っているのです。
また、時々塩分補給の意味で、梅干しや漬け物などをお茶うけとして摂取するように心がけましょう。

気象庁は7月13日より、当日あるいは翌日の気温が35度を超える猛暑日が予想される場合に、「高温注意情報」というのを天気予報の後に発表することにしたそうです。
皆さん、お出かけのときは事前に確認して、熱中症対策に役立ててくださいね。

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