9.骨粗鬆症って

重田塾も寝たきりに関する主な疾患は終わったと思います。

今回からは思いつくままにお話しさせていただきます。
まぁ、今までも行き当たりばったりなんですけどね。

さて、今回は骨粗鬆症です。
オステオポローシスという呼び名も覚えておきましょう。
よく薬局なんかのポスターで、「骨がヘチマみたいにすかすかになる」とあります。
定義としては、骨量(絶対量)と骨強度が減少した病態であり、骨質そのものの化学的組成は正常とあります。
例えていうなら耐震偽装です。
使われている鉄筋の材質には問題はないのですが、建物を支えるには鉄筋の本数が少ないのです。
分かってもらえますかねぇ。個人的にはいい例えと思ってます。
その骨量、実は40歳以降から減少していくのです。
実際には、80代では全体のほぼ半数、50代女性では1/4に起きています。
じゃあ、なぜ起こるのでしょう。これが聞き慣れない言葉で説明されます。
骨量の減少は、吸収と形成のバランスが負になった場合に起きます。
吸収は破壊を意味しています。このバランスの崩れ方は、代謝回転により二つに分類されます。

① 低回転骨粗鬆症
骨の吸収も形成も減少していますが、形成がより減少している状態です。
老人性骨粗鬆症や閉経後骨粗鬆症でみられます。

② 高回転骨粗鬆症
骨の吸収も形成も増加していますが、吸収がより増加している場合に起こります。
内分泌性骨粗鬆症といわれる甲状腺機能亢進症、上皮小体機能亢進症でみられます。
栄養性骨粗鬆症といわれるビタミンD過剰症でもみられます。
さて、症状です。
① 腰背痛、脊柱後弯強、円背(猫背)、亀背、低身長、易疲労性。

② 易骨折:橈骨下端部骨折(コーレス骨折)、胸腰椎の圧迫骨折、大腿骨頚部骨折、上腕骨近位端部骨折、肋骨骨折など。
コーレス骨折が多いです。
X線検査では、脊椎の骨陰影が薄くなります。進行すれば椎体の圧迫骨折の像を認め、楔状椎、魚椎、扁平椎となります。
楔状椎:椎体の前端が圧迫により短縮する。
魚椎:椎体中央部が凹む。
扁平椎:椎体全体が短縮する。
また、棘突起の叩打痛が認められる時は、新鮮な椎体骨折が疑われます。

治療としては
① 鎮痛剤、筋弛緩剤、カルシウム剤、ビタミンD、エストロゲン、カルシトニンなどの投与が行われます。
ただし、エストロゲンについては、子宮癌のリスクがありますので要注意です。

② 圧迫骨折の急性期には安静を保ち、後にコルセットを装着し、歩行訓練、温熱療法、腰痛体操などを行います。

骨折予防としては
① 薬物療法
エストロゲン、ビタミンD、ビスフォスフォネートに椎体圧迫骨折の発生率を低下させる効果が確認されています。

② 運動療法
体操、歩行など。

③ 食事療法
カルシウムの多い小魚、ひじき・わかめ・こんぶ等海草類、乳製品、小松菜、補助食品など。

④ 転倒防止
運動療法による筋力、関節可動域、平衡感覚の維持。杖や歩行器具の使用。

⑤ 転倒時の大腿骨頚部骨折予防
大転子部を保護するヒッププロテクターの装着。

⑥ 禁煙
喫煙は骨折の危険を増します。

私たちが対象とする患者は、高齢で運動不足が容易に予想できます。骨折は一番避けなければならないことです。
信頼される施術者を目指すために骨粗鬆症については充分に理解しておいてください。
今回は短いですが、ここまでです。

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