19.薬の飲み方って

薬を処方してもらう時、「他に処方してもらったり、飲んでいる薬はありませんか?」と聞かれます。
最近は“お薬手帳”というのがあって薬の履歴が分かるようになっています。
これは薬の危険な飲み合わせを防ぐためです。
薬と薬の飲み合わせの他に、ある種の食べ物や嗜好品と一緒に飲んではいけない
[食べ物との飲み合わせ]があります。
薬の効果が強くなったり、反対に効果が出にくくなったりします。
処方された薬、健康食品、好んで食べている嗜好品などとあうかを
医師や薬剤師に確認するようにして下さい。

・薬を食道から胃へ運ぶにはコップ1杯の水が必要です。

・飲み忘れても、一度に2倍飲まず、気付いた時点で飲みましょう。

・1日3回の内服薬の場合、服薬の間隔は4時間は開けるようにしましょう。

・薬を飲む時間
食前:食事をする30~1時間前ぐらい
食後:食後30分~1時間以内
食間:食後約2時間

・市販薬の上手な買い方
薬剤師に相談して適切な薬を選択してもらいます。
「お薬手帳」を持参します。

・薬の吸収
薬は、胃に入り、胃酸の影響を受けて胃に吸収されるものと、
小腸へ送られて体に吸収されるものとがあります。
胃などの消化管から吸収された薬の大部分は、門脈とよばれる血管に集まった後、
肝臓へ送られてから全身へと運ばれます。
そして治療すべき部位で効果を発揮します。その後、
肝臓で無毒化されてから排泄されるもの
薬のままで腎臓から尿と一緒に排泄されるもの
肝臓で半分が無毒化されて体外へ排泄され、残りは薬のまま腎臓で排泄されるもの
などがあります。

このうち、食べ物との飲み合わせの影響がもっとも大きいのが、肝臓で無毒化される薬です。
野菜や果物の中には、この無毒化を行う酵素の働きを妨げてしまうものがあり、
薬が強く効きすぎてしまうことがあります。
断食したり、蛋白質がかなり少ない食事を続けたりしていると、
無毒化や排泄を充分に行うことができなくなって、薬が効きすぎてしまうことがあります。
反対に、高蛋白の食事や喫煙は酵素の働きを活性化し、無毒化作用を促進しすぎてしまい、
無毒化や排泄が普通より早く進んで薬の効き目が悪くなることがあります。

・注意すべき食品と薬の組合せ
① ヨーグルトと骨粗しょう薬
カルシウムと薬が吸着し、効果が弱まったり、なくなったりする。

② 牛乳と便秘薬
腸内で溶けるはずの薬が、胃の中で溶けてしまい、効果がなくなる。1時間程度あける。

③ 牛乳と貧血薬
牛乳のカルシウムに薬効成分が吸着し、身体に吸収されにくくなる。

④ 牛乳と水虫薬
薬効を強めて、肝機能が悪くなる。

⑤ 牛乳と飲むと吸収が落ちる薬
テトラサイクリン系抗生物質:服用間隔を2時間くらいあける。
ニューキノロン系抗菌剤:服用間隔を2時間くらいあける。
骨粗鬆症薬(ダイドロネル、ボナロン、フォサマック)

⑥ アセロラと更年期障害薬
ビタミンCがエストロゲンの吸収を増大し、頭痛やめまいが出現することがある。

⑦ 栄養ドリンクと喘息薬
カフェインの多いドリンク剤との相乗効果でイライラが出現する。

・注意すべき薬の組合せ
① 風邪薬と咳止め薬
総合感冒薬と咳止め薬は、ほぼ同じ成分が含まれているので、
一緒に飲むと成分が重なるため、副作用が出てしまう。

② 胃薬と鼻炎薬
胃酸の分泌を抑える抗コリンロートエキスを含む胃薬・精神安定薬と
抗ヒスタミンを含む薬の併用は危険。
効果が2倍になり、口渇、動悸などの症状が出現し、痙攣を起こし、失神することもある。
抗ヒスタミンは、アトピー性皮膚炎の薬、風邪薬などにも含まれる。

③ 花粉症の薬と飲み合わせ
テルフェナジン(製品名 トリルダン)は、水虫治療薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、
ミコナゾール(フロリードF注、フロリードゲル)、抗生物質のエリスロマイシン
(アイロタイシン、アイロゾン、エリスロシン)、クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリス)、
グレープフルーツなどとの相互作用で、重篤な不整脈が出る場合がある。

・薬と食べ物の関係
① 非ピリン系解熱鎮痛薬アセトアミノフェンは、甘いお菓子、薫製食品、
キャベツ、カリフラワーなどと食べると、薬効が弱まる。
② アスピリン解熱鎮痛薬は、酸性食品、炭酸飲料と一緒に取ると、薬の吸収が悪くなる。
③ イブプロフェン解熱鎮痛薬は、非ステロイド系抗炎症薬の代表、イブプロフェンは、胃をあらす作用を持つ。
胃に刺激を与える食品と一緒に取ると、胃に痛みが出ることもある。
④ 胃腸薬マーロックス、高蛋白質の食品と一緒に取ると、胃酸が中和されず、痛みが治まらない。
⑤ キサチン系咳止め薬、プリン体が多いいくらなどと取ると、高尿酸血症となり、
痛風や腎臓障害を起こすことがある。
⑥ 血栓治療薬ワーファリンカリウム、鮭やウナギに含まれるビタミンEによって薬効が増大し、
血液がサラサラになりすぎ、脳出血や吐血を起こすこともある。
⑦ 健康食品は、受診時に持っていき医師に確認するのがよい。

・注意したい食べ物
① グレープフルーツ
特有の苦味成分が肝臓で薬を無毒化する酵素の働きを妨げ、効果が強化されてしまう。
高血圧の治療薬であるカルシウム拮抗剤を一緒にとると、薬の作用が増強し血圧が下がりすぎてしまう。
血圧が下りすぎてフラフラする、心臓がドキドキする、頭痛がする、顔が赤くなるなど。
この作用は、グレープフルーツジュースを飲んだ後3~4日間持続するので、飲用は避けた方がよい。
脂質異常症の薬の吸収は、7~16倍に増加する。
睡眠導入剤のトリアゾラムは、意識障害や昏睡が起こる恐れがある。
更年期障害薬なども注意が必要である。

・注意したい飲み物
① 炭酸飲料
アスピリンを胃で溶けにくくして薬効の出現を遅らせる。
心筋症薬の場合、吸収が強まり、吐き気、下痢、肝機能障害を起こす恐れがある。
ぜんそく薬トヨフィリンは副作用が強まり、不眠の症状が出現することがある。

② カフェイン飲料(コーヒー、紅茶、ウーロン茶、緑茶)
精神安定薬、向精神薬、狭心症の薬などの薬効を弱める。
抗菌薬の薬効が強まる。
H2ブロッカーと呼ばれる胃薬シメチジンという薬を使っているものと、
カフェイン飲料を一緒にとると、体内からカフェインを排泄するのが遅くなり、
心臓がどきどきしたり、イライラしたりすることがある。
喘息のテオドール(成分名:テオフィリン)は、テオフィリンとカフェインは似た構造で
自律神経を興奮させる作用が強まり、頭痛など起こす。
水虫薬は、カフェインの副作用で、頭痛やイライラが出現したりする。

・アルコールについて
百薬の長といわれても薬との相性は最悪。
解熱鎮痛薬、精神安定剤などと服用すると、薬効が増強され、
意識がなくなったり、血圧が急激に下降したりする。
酒を飲む前にH2ブロッカーの服用は避ける。
胃壁内にあるアルコール分解酵素の働きが阻害されて、血液中のアルコール濃度が高くなり、
酔いが早く、強く、悪酔い状態となる。
抗生物質もひどい二日酔状態となる。
睡眠導入薬は、呼吸が停止することもある。
抗うつ薬では、幻覚や精神錯乱を起こすことがある。
アルコールを飲む前後数時間は、服薬を避ける。
栄養ドリンク剤2~3本でビールコップ1杯ものアルコールが含まれているものもある。

・たばこ
必ず医師にタバコを吸っていることを伝える。
血液が固まるのを防ぐ薬や精神安定剤などが効き過ぎてしまうことがあり、
万が一薬が効きすぎてしまうと消化管出血や脳出血などの重い症状を引き起こしてしまう場合もある。

・効き目が悪くなるもの
アセトアミノフェン:解熱鎮痛剤、市販のかぜ薬の8割に入っている。
βブロッカー:血圧の薬
テオフィリン:喘息、気管支炎の薬
抗うつ薬
経口避妊薬:女性ホルモン剤

・情報
ファンケルは、自社のサプリメント約100種類と、医療用医薬品約1万9000種類(後発品含む)、
一般薬約1万3000種類の飲み合わせに関する検索システムを構築。
2004年4月以降、お客様相談室で、このシステムを活用した相談サービスの電話受付を開始する。
検索システムの概要は、3月29日から31日に大阪で開催される日本薬学会で発表。

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